ある朝、いつものように出社して、自販機の前でホットコーヒーを買っていると、ちょうど後ろにいたのがうちの上司でした。普段は忙しくて、すれ違うくらいしか話す機会がない方だったのですが、その日は珍しく「お、君もブラック派?」と声をかけてくださいました。軽くうなずくと、上司も同じ缶コーヒーを取りながら、「昔は甘いのしか飲めなかったけど、仕事って不思議と味覚も変えるよなぁ」と笑っておられました。
そこから自然と雑談が始まり、「最近どう?」とか、「今やってる案件って○○のとこやんな」といった、ちょっとした会話が続きました。たった数分のやりとりだったのに、妙に嬉しくて、その日はなんだか一日気分が良かったのを覚えています。
考えてみれば、仕事って結局“人と人”なんですよね。どれだけ効率化が進んでも、どれだけオンライン化が進んでも、やっぱり気持ちが通う瞬間ってある。それは決して大きな会議や資料の中ではなく、むしろこういうちょっとした日常の中にある気がします。
缶コーヒー一本で心の距離が縮まることだってあるし、朝の数分が人間関係をつくるきっかけになることもある。そう考えると、たかが自販機、されど自販機ですね。小さな「偶然」に乗っかって話しかけてくれた上司に感謝しつつ、自分もいつか誰かにそんな空気をつくれる人になれたらいいな、と思った朝でした。