「たかが電池一本くらい、他のゴミと混ぜても大丈夫だろう」 「製品の中に入ったままだけど、小さいからバレないだろう」
もし、社内でそのような認識が少しでもあるなら、それは非常に危険な状態です。企業の廃棄物管理において、今もっとも警戒すべきリスクの一つが「電池」だからです。
近年、廃棄物処理施設や収集運搬車両での火災事故が多発しています。その原因の多くが、リチウムイオン電池などの「電池類」の混入によるものです。 特に最近では、ハンディファンや電子タバコ、ワイヤレスイヤホンなど、一見して電池が入っているか分かりにくい「電池一体型製品」が増えており、これらが知らず知らずのうちに一般廃棄物やプラスチックごみに混入してしまうケースが後を絶ちません。
電池の廃棄区分は非常に複雑で、種類によって「産業廃棄物」の品目や「特別管理産業廃棄物」への該当有無が変わります。 この記事では、排出事業者の担当者が知っておくべき、電池・バッテリーの正しい種類分けと、火災を防ぐための適正処理について、専門的な視点から徹底解説します。

目次
なぜ今、事業所での「電池の分別」が重要なのか
増加する廃棄物処理施設での火災事故とその原因
環境省の報告や報道によると、廃棄物処理施設における火災事故は今もなお高い水準で発生しており、その被害は深刻化しています。
【環境省等のデータと実態】 環境省の調べ(※1)によると、リチウム蓄電池等が原因と疑われる発火・発煙トラブルは、全国の市区町村で年間1万件以上も発生しているとの推計もあります。 また、実際に施設が火災に見舞われた場合の被害額は甚大で、復旧費用や代替処理費用を含めると100億円規模の損害が発生した事例も報告されています。
【ニュースでも報じられる深刻な被害】 2025年に入ってからも、大規模な産業廃棄物処理施設での火災事故がニュースで取り上げられています。
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「廃プラスチックの山から出火し、鎮火まで数日を要した」
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「たった数本のリチウムイオン電池が混入しただけで、数十億円の設備が全焼した」 といった報道を目にした方も多いのではないでしょうか。
これらの火災の主な原因は、モバイルバッテリーや電子機器に含まれるリチウムイオン電池です。
なぜこれほど簡単に火が出るのか?(熱暴走の恐怖) リチウムイオン電池は、小型で大容量のエネルギーを蓄えるために、燃えやすい有機溶媒(電解液)を使用しています。 処理施設で廃棄物を破砕(細かく砕く)したり、パッカー車で圧縮したりする際、紛れ込んだ電池に強力な圧力がかかると、セパレーターという仕切りが破損し、プラス極とマイナス極が直接触れてショートします。 すると、一瞬で数百度の熱が発生する**「熱暴走」**という現象が起き、爆発的な炎を上げて周囲のゴミに引火してしまうのです。 たった1つの小さな電池が、巨大なプラントを全焼させたり、収集作業員の命を危険に晒したりする重大事故につながる理由はここにあります。
参考情報
排出事業者が負う法的責任とリスク
廃棄物処理法には「排出事業者責任」という原則があります。「処理業者にお金を払って委託すれば終わり」ではありません。 委託した廃棄物の性状や危険性を正しく伝えなかった場合、排出事業者も責任を問われます。
もし自社が排出した廃棄物が原因で処理施設の火災事故が起きた場合、以下のようなリスクが発生します。
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損害賠償請求: 施設の復旧費用や休業補償など、多額の賠償を求められる可能性があります。過去には億単位の請求に発展したケースも想定されます。
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処理の停止: 事故により施設が稼働停止すれば、自社の廃棄物の行き場がなくなります。工場のライン停止など、自社の操業にも影響しかねません。
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社会的信用の失墜: 「安全管理ができていない企業」「環境リスクを軽視する企業」として報道されれば、ブランドイメージは大きく損なわれます。
分別を徹底することは、処理業者のためだけでなく、自社の経営リスクを守るための防衛策なのです。
【種類別】電池・バッテリーの特徴と正しい廃棄区分
事業所から出る電池は、基本的にすべて産業廃棄物として処理する必要があります。しかし、その「中身(品目)」は種類によって異なります。
乾電池(アルカリ・マンガン)|「金属くず・汚泥」として産業廃棄物へ
家庭ごみでは自治体の回収に出すことが一般的ですが、事業活動に伴って排出される乾電池は産業廃棄物です。 「一般廃棄物(事業系ごみ)」として排出することはできません。オフィスから出る少量の電池であっても同様です。
また、乾電池は単一の素材ではありません。
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外装や端子:金属くず
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中身(二酸化マンガン等の電解質):汚泥
これらが一体となっているため、実務上は「金属くず」と「汚泥」の混合物として扱うのが最も法的に正確で安全です。 契約書においても、この2品目の許可を持つ業者を選定する必要があります。単純に「金属スクラップ」として売却できるものではないため注意が必要です。
ボタン電池|水銀使用製品産業廃棄物としての適正処理
酸化銀電池や空気亜鉛電池などのボタン電池には、微量の水銀が含まれている可能性があります。 これらは2017年の法改正により、「水銀使用製品産業廃棄物」として扱うことが義務付けられました。
通常の産業廃棄物とは区別し、契約書やマニフェストには必ず「水銀使用製品産業廃棄物」が含まれている旨を明記する必要があります。 また、保管の際も他の廃棄物と混ざらないよう、明確に区分けした表示を行うことが求められます。
小型充電式電池(リチウムイオン・ニカド・ニッケル水素)|発火リスク大
ノートパソコン、電動工具、ハンディファン、デジタルカメラなどに使用される充電式電池です。 中でもリチウムイオン電池はエネルギー密度が高く、前述の通り破損時の発火リスクが極めて高いのが特徴です。
これらを、廃プラスチック類や金属くずのコンテナに混ぜることは厳禁です。 産業廃棄物として処理する場合は、電池専用のルートを持ち、「焼却」や「溶融」など安全に無害化できる設備を持つ処理業者へ委託しなければなりません。 多くの一般的な中間処理施設では受け入れを断られるケースが増えている「処理困難物」の一つでもあります。
鉛蓄電池(鉛バッテリー)|電解液は「特別管理産業廃棄物」
自動車やフォークリフト、非常用電源(UPS)などに使われる大型のバッテリーです。 内部に入っている電解液は「希硫酸」であり、これは腐食性(pH2.0以下)を持つため、**「特別管理産業廃棄物(廃酸)」**に該当します。
つまり、鉛バッテリーを捨てる際は、通常の産業廃棄物許可だけでなく、特別管理産業廃棄物の許可を持つ業者に委託する必要があります。 「ただの金属スクラップ」として扱うと、廃酸の不法投棄や無許可委託(法違反)になるため、非常に注意が必要です。また、運搬中に転倒すると強酸性の液が漏れ出す危険があるため、運搬基準も厳格に定められています。
産業廃棄物として委託する際の実務ポイント
契約書・マニフェストに記載すべき「品目」の複合について
電池類は「複合素材」であるため、委託契約書やマニフェストの品目欄には複数の項目を記載する必要があります。ここを間違えると、マニフェストの記載ミス(不適正処理)とみなされる恐れがあります。
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乾電池の場合: 「金属くず」+「汚泥」
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鉛バッテリーの場合: 「金属くず」+「廃プラスチック類」+「特別管理産業廃棄物(廃酸)」
委託しようとしている収集運搬業者・処分業者が、これら全ての品目の許可を持っているか、許可証(写し)を確認してください。 例えば、「金属くず」の許可しか持っていない業者に乾電池(汚泥を含む)を委託することはできません。
保管・運搬時の安全対策(絶縁処理・水濡れ防止)
契約だけでなく、現場での保管方法も重要です。以下のチェックリストを参考に、現場の状況を確認してみましょう。
【電池保管の安全チェックリスト】
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[ ] 絶縁処理はされていますか? 電池のプラス極とマイナス極が金属などに触れるとショートして発熱します。端子部分にビニールテープやセロハンテープを貼って絶縁してください。特にボタン電池は重ねると側面でショートしやすいため、1個ずつテープで包むのが推奨されます。
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[ ] 水濡れ対策は万全ですか? 特にリチウムイオン電池は、水に濡れると激しく化学反応を起こすものがあります。雨ざらしの屋外保管は避け、屋内のドラム缶や蓋付きのコンテナで保管しましょう。
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[ ] 専用容器で分けていますか? 他の廃棄物の下敷きにならないよう、電池は「電池専用」の容器を用意し、分けて保管するのが鉄則です。「混ぜればゴミ、分ければ資源(あるいは適正処理)」の意識を徹底しましょう。
処理困難な電池類や鉛バッテリーも、ジェイポートなら一括対応可能です
ここまで解説してきた通り、電池の処理は「種類の判別」「契約品目の複雑さ」「特別管理産業廃棄物への対応」など、非常に専門的な知識と対応力が求められます。
「ウチの工場から出るこの電池、結局どれに当てはまるの?」 「鉛バッテリーがあるけれど、特管の許可を持っている業者が見つからない」 「リチウムイオン電池の引き取りを断られて困っている」
このようにお悩みの排出事業者様は、ぜひ株式会社ジェイポートにご相談ください。
ジェイポートが選ばれる3つの理由
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「特別管理産業廃棄物」の収集運搬許可を保有 鉛バッテリーなどの処理に必要な「廃酸(特管)」の許可を保有しているため、コンプライアンスを遵守した適正な運搬・処理委託が可能です。
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処理困難なリチウムイオン電池にも対応 発火リスクから受け入れ先が減っているリチウムイオン電池についても、独自の適正処理ルートを構築しています。安全確実に無害化処理を行います。
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面倒な契約書・マニフェスト運用もサポート 「金属くず・汚泥・廃酸」といった複雑な品目の記載や、契約書の作成も、専門知識を持つスタッフが丁寧にサポートいたします。
電池1本から、工場一括の廃棄物管理まで。 火災リスクをゼロにし、安心安全な廃棄物処理を実現したい担当者様は、まずはお気軽にジェイポートまでお問い合わせください。
まとめ:正しい知識で火災を防ぎ、コンプライアンスを守ろう
今回のポイントを整理します。
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乾電池は「金属くず・汚泥」の産業廃棄物。一般ごみには混ぜない。
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鉛バッテリーの電解液は「特別管理産業廃棄物(廃酸)」。許可証の確認が必須。
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リチウムイオン電池は最大の発火源。熱暴走を防ぐため、絶対に破砕機行きのゴミに混ぜない。
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保管時は絶縁処理(テープ貼り)を行い、安全を確保する。
電池の処理は、一歩間違えれば火災事故や法令違反に直結します。「たかが電池」と思わず、現在の委託契約内容が正しい品目になっているか、現場の分別ルールが守られているか、ぜひ一度見直してみてください。
適切な処理は、企業の信頼と従業員の安全を守るための重要な投資です。
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