近年、BCP(事業継続計画)対策や屋外作業、テレワーク推進のために、多くの企業で導入が進んだポータブル電源(ポタ電)。
しかし、いざ買い替えや廃棄の時期を迎えたとき、「これって事務機器として捨てていいの?」「産業廃棄物のどの品目になるの?」と頭を悩ませる担当者様が増えています。
結論から申し上げます。法人から出るポータブル電源は、自治体のゴミ回収には絶対に出せません。
誤った処分は、火災事故のリスクだけでなく、廃棄物処理法違反(5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、または併科)という重大な経営リスクに直結します。今回は、産業廃棄物処理のプロが、法人向けの正しい処分ルートを徹底解説します。
目次
1. なぜ「法人のポタ電」は取り扱いが厳しいのか?
① 「産業廃棄物」としての法的縛り
家庭から出るポタ電は「小型家電リサイクル法」の対象となる場合がありますが、企業から出るものは「産業廃棄物」です。排出事業者である企業には、最終処分まで見届ける「排出事業者責任」が課せられています。
② リチウムイオン電池による火災リスク
ポータブル電源に内蔵されているリチウムイオン電池は、圧力や衝撃に弱く、誤って「金属くず」や「プラスチックくず」として他の廃棄物に混ぜてしまうと、収集車や処理施設での大規模火災を引き起こします。実際に、自治体の処理施設が数億円規模の損害を被る事例も発生しています。
2. 法人向け:正しい3つの処分ルート
企業がポータブル電源を処分する場合、以下のいずれかのルートを選択する必要があります。
ルートA:メーカーの法人向け回収を利用する
Jackery、EcoFlow、Ankerなどの主要メーカーは、法人向けの回収相談窓口を設けている場合があります。
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メリット: メーカーによる適正なリサイクルが担保される。
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注意点: 1台から受けてくれる場合もあれば、まとまった台数が必要な場合もあります。また、送料や処理費用が発生することが一般的です。
ルートB:広域認定制度を活用した回収
一部のOA機器メーカーや販売代理店は、環境大臣から「広域認定」を受けており、自社製品を効率的に回収・リサイクルする仕組みを持っています。購入時の契約書やリース契約を確認し、返却・廃棄の条項がないかチェックしましょう。
ルートC:産業廃棄物処理業者へ委託する(もっとも確実)
メーカーが不明なものや、複数メーカーが混在している場合、または他の事務機器と一緒に捨てたい場合に最適です。
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品目: 通常は「金属くず」「廃プラスチック類」「汚泥」などの混合物として扱われます。
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必須事項: 必ず「産業廃棄物収集運搬業」および「処分業」の許可を持つ業者と契約し、マニフェスト(管理票)を発行する必要があります。
3. 担当者が押さえるべき「3つの実務ポイント」
廃棄担当者になったら、以下のステップで進めるのがスムーズです。
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「マニフェスト」の発行を忘れずに 不法投棄を防ぐため、紙または電子マニフェストでの管理が義務付けられています。これがないと、適正に処理された証明ができません。
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リチウムイオン電池であることを明示する 業者に見積もりを依頼する際は、必ず「リチウムイオン電池内蔵のポータブル電源」であることを伝えてください。特殊な処理が必要なため、通常の金属くずより単価が高くなるのが一般的です。
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データ消去(通信機能付きの場合) 最近のスマートポータブル電源には、Wi-Fi接続機能などが備わっているものがあります。ネットワーク設定などの内部データがある場合は、リセット(初期化)を行ってから排出しましょう。
4. 【注意】「無料回収業者」はリスクが高い!
ポストに入っているチラシや、街中を巡回している「不用品無料回収業者」に法人名義のポタ電を渡すのは非常に危険です。
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不法投棄のリスク: 適切な処理能力がない業者が山林に捨てたり、海外へ不正輸出したりするケースがあります。
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連帯責任: 業者が不法投棄をした場合、排出元である貴社の名前も公表され、法的責任を問われることになります。
まとめ:環境への配慮が企業の価値を高める
ポータブル電源の適正処理は、単なるゴミ捨てではなく、企業のESG経営(環境・社会・ガバナンス)の一環です。
「壊れて動かない」「膨張していて怖い」「台数が多くて困っている」といった状況でも、専門の知識を持った産廃業者であれば、安全に回収・処理することが可能です。
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