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マメ知識

UPDATE :2025.07.30 
POST :2025.04.25

エアコンや冷蔵庫の処分前に知っておきたい!フロンガスとノンフロンの話

フロンガスとは

フロンガスとは、冷蔵庫やエアコンなどの冷却装置に使われている気体の一種です。正式には「フルオロカーボン」と呼ばれ、もともとは冷却や断熱、スプレーの噴射剤などに広く使われてきました。

このガスは、透明でにおいもなく、燃えにくいという安全性の高さが魅力でした。そのため、家庭用から工業用まで、さまざまな分野で利用されてきたのです。

しかし、フロンガスには大きな問題もあります。それは、大気中に放出されると地球の「オゾン層」を壊してしまうという点です。オゾン層は、私たちの肌や健康を守ってくれている大切なバリア。この層が破壊されると、紫外線が地表に強く降り注ぎ、皮膚がんや目の病気などのリスクが高まると言われています。

そのため、フロンガスは「便利だけど、ちゃんと管理しないと危険なガス」として、現在では取り扱いに厳しいルールが設けられています。

 

フロンガスの主な種類

フロンガスにはいくつかの種類があります。どれも冷却や断熱、スプレーなどの用途で使われていますが、それぞれ性質や環境への影響が少しずつ違います。ここでは代表的な3つをご紹介します。

CFC(クロロフルオロカーボン)
昔から使われていたタイプで、エアコンや冷蔵庫、スプレー缶などに広く使われていました。しかし、このCFCはオゾン層を大きく破壊する原因になることがわかり、今では製造・使用が世界的に禁止されています。

HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)
CFCの代わりとして使われるようになったガスです。CFCよりも環境への影響は少ないですが、オゾン層への影響が完全になくなったわけではないため、こちらも徐々に規制が進められています。

HFC(ハイドロフルオロカーボン)
HFCは、オゾン層を壊す心配がほとんどないということで、現在主に使われているフロンガスです。ただし、地球温暖化への影響が大きいため、こちらも将来的には使用を減らしていこうという動きがあります。

 

フロンガスが与える影響

フロンガスは、普段の生活では目に見えませんが、大気中に放出されることで地球環境に深刻な影響を与えるガスです。特に、次の2つの点が大きな問題とされています。

1. オゾン層の破壊
フロンガスの中でも、CFCやHCFCといった種類は、空に放出されると成層圏に到達し、オゾン層を壊す働きがあります。

オゾン層は、地球のまわりにある“紫外線カットのバリア”のようなものです。この層が壊れると、強い紫外線が地表に届くようになり、皮膚がんや白内障、農作物や海のプランクトンにも悪影響が出ると言われています。

2. 地球温暖化の促進
オゾン層を破壊しないタイプのフロンガス(HFCなど)でも、安心とは言えません。これらは「温室効果ガス」として地球温暖化を進める力が強いため、大量に放出されると気温上昇や異常気象の原因になってしまうのです。

実際、HFCの温室効果は二酸化炭素の数百倍~数千倍にもなることがあり、今後の対策が重要視されています。

このように、フロンガスは私たちの生活を便利にする一方で、環境には大きなリスクをもたらす存在でもあります。そのため、使い方や処分の方法には十分な注意が必要なのです。

 

フロンガスの規制

フロンガスが環境に与える影響が明らかになったことで、世界中でその使用や排出を減らすためのルール(規制)が設けられるようになりました。日本でも、この流れに沿ってしっかりと法律や制度が整えられています。

世界での取り組み「モントリオール議定書」
まず、国際的な動きとして1987年に「モントリオール議定書」という取り決めが結ばれました。これは、オゾン層を守るためにフロンガスの使用を減らしていこうという世界共通の約束です。

この取り決めによって、CFC(クロロフルオロカーボン)などの強くオゾン層を壊すガスは製造や使用が禁止され、代替ガスに切り替えが進められてきました。

日本での規制「フロン排出抑制法」
日本では、フロンガスに関する法律として「フロン排出抑制法(正式名称:フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律)」が2015年に施行されました。

この法律では、以下のようなことが義務づけられています。

エアコンや冷蔵庫などを使っている事業者は、定期的な点検と記録を行うこと

廃棄する際は、機器の中に残っているフロンガスをきちんと回収すること

フロンガスの回収・処理は、専門の許可業者が行うこと

こうしたルールにより、フロンガスを大気に逃がさないしくみが整えられているのです。

 

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フロンガスの適正処理

フロンガスは、環境に悪影響を与えるおそれがあるため、使い終わった後にそのまま放出してはいけません。法律でも、「きちんと処理しなければならない」と定められています。

では、どのように処理されているのでしょうか?

家電や業務用機器からのフロン回収
エアコンや冷蔵庫などの機器の中には、まだ使える状態のフロンガスが残っていることが多くあります。これらの機器を廃棄する際には、専門の回収業者が機器の内部からフロンを抜き取る作業(回収)を行います。

この作業は、国家資格を持った技術者や、許可を受けた業者でなければできません。適正に回収されたフロンガスは、その後「再利用するか、破壊処理」されます。

再利用と破壊処理
回収されたフロンガスは、状態が良ければもう一度別の機器で使うために再利用されることがあります。ただし、汚れていたり古くなっていたりすると、専用の施設で高温処理などを使って分解(破壊処理)されます。

この処理方法も、法律で定められた施設・業者に限られており、勝手に廃棄することはできません。

フロンガスの適正処理は、私たちの環境を守るための大切なステップです。廃棄の際は、「処理業者がきちんと回収しているか」「法律に従っているか」を確認することが重要です。

 

フロンガスの代替、ノンフロンガスについて

環境への悪影響が大きいフロンガスに代わるものとして、「ノンフロンガス(代替冷媒・代替噴射剤)」が注目されています。これは文字通り、フロンを使わない新しいタイプのガスや技術のことです。

近年では、冷蔵庫やエアコン、スプレー缶、断熱材などの分野で、フロンを使わずに同じような効果を出せる製品が増えてきました。

代表的なノンフロンガスの例
炭化水素系ガス(プロパン・イソブタンなど)
 冷却効果が高く、オゾン層や地球温暖化への影響が少ないとされています。ただし、可燃性があるため、安全対策が必要です。

二酸化炭素(CO₂)
 冷媒として使用でき、地球温暖化への影響が非常に少ないのが特徴です。一部の冷蔵ショーケースやヒートポンプ給湯器などで採用されています。

空気や水を使った噴射技術
 スプレー缶などでは、ガスそのものを使わず、空気や水圧で中身を出す技術が使われるようになっています。

こうした代替技術は、地球にやさしい選択肢として、今後さらに広がっていくと考えられています。

 

メリット

ノンフロンガスは、環境への負荷を減らしながら私たちの生活に役立つ、とても注目されている技術です。ここでは、ノンフロンガスを使うことで得られる主なメリットをご紹介します。

1. オゾン層を守ることができる
ノンフロンガスの最大のメリットは、オゾン層を破壊しないことです。従来のフロンガスがオゾン層に深刻なダメージを与えていたのに対し、ノンフロンガスはオゾンに影響を与えないものがほとんどです。これにより、私たちの健康や農作物などを守ることにつながります。

2. 地球温暖化への影響が少ない
ノンフロンガスの中には、地球温暖化を引き起こす力(温室効果)が低いものが多くあります。特に、二酸化炭素や炭化水素系ガスは、従来のHFC(ハイドロフルオロカーボン)と比べて温室効果が小さいため、地球環境にやさしい冷媒として評価されています。

3. 規制強化への対応がしやすい
法律や国際的な取り決めにより、フロンガスの使用は今後さらに厳しく制限される見込みです。そのため、ノンフロン製品を導入しておくことで、将来的なルール変更にも柔軟に対応できるというメリットがあります。これは、企業にとっても安心材料のひとつです。

ノンフロンガスは、私たちの便利な暮らしを維持しながら、環境にも配慮できる“次世代の選択肢”といえます。

 

デメリット

環境にやさしいとされるノンフロンガスですが、すべてが完璧というわけではありません。導入や利用には、いくつかの注意点やデメリットもあります。ここではその主なポイントを紹介します。

1. 可燃性のリスクがある場合がある
ノンフロンガスの中には、プロパンやイソブタンのように燃えやすい性質(可燃性)を持つものがあります。これらは正しく扱えば安全ですが、誤って漏れた場合には火災の危険性があるため、安全対策や設計の工夫が必要です。

2. 導入コストが高くなることがある
新しい技術や装置を使うノンフロン製品は、初期費用が高くなることがあります。特に業務用の冷凍・冷蔵設備などでは、装置の設計変更や安全基準の対応が求められることがあり、企業にとってはコスト面の課題となる場合もあります。

3. 既存の設備との互換性がない場合も
ノンフロンガスは、従来のフロンガスと性質が異なるため、既存の設備には使えないことがあります。そのため、機器ごと交換しなければならないケースもあり、これが導入を遅らせる要因になっています。

ノンフロンガスは環境へのメリットが大きい一方で、安全性・コスト・互換性といった面での課題もあることを理解しておくことが大切です。

ノンフロンガス使用製品の処理

ノンフロンガスを使っている製品は、環境にやさしいとされますが、使い終わった後の処理も正しく行う必要があります。誤った処分をすると、火災や環境への影響が出るおそれがあるため、処理方法には十分な注意が必要です。

家庭用の場合
家庭用の冷蔵庫やエアコンなどに使われているノンフロン製品は、家電リサイクル法に基づいて、適正に回収・リサイクルされます。これはフロン製品と同じで、販売店に引き取りを依頼するか、市区町村指定の方法で回収してもらう必要があります。

「ノンフロンだからごみとして出せる」と勘違いされがちですが、家電製品は一般ごみでは処分できませんので要注意です。

事業活動で使われた製品の場合
業務用の冷凍冷蔵庫やエアコンなど、事業者が使用したノンフロン製品の処分は、産業廃棄物として扱われる場合があります。特に、冷媒ガスや断熱材に可燃性のノンフロンガスが使われている場合は、「廃プラスチック類」や「廃油」などの分類で適正な処理が求められます​。

このような廃棄物は、許可を持つ産業廃棄物処理業者に委託する必要があります。処理の際には「マニフェスト(管理票)」による記録も必要となるため、専門の業者に相談することが安心です。

ノンフロン製品であっても、「環境にやさしい=そのまま捨ててOK」ではありません。正しく分別し、法律に沿って処理を行うことが、私たちにもできる環境保護の第一歩です。

 

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まとめ

フロンガスは、冷蔵庫やエアコンなどで使われてきた便利なガスですが、オゾン層の破壊や地球温暖化といった深刻な環境問題を引き起こす要因でもあります。そのため、現在では厳しい規制があり、使用や処分にもルールが定められています。

その代わりとして注目されているのが、ノンフロンガスです。環境への影響が少なく、持続可能な社会に向けた重要な選択肢となっています。ただし、可燃性のリスクやコスト、処理方法など、導入や廃棄の際には注意すべき点もあることを理解しておく必要があります。

製品を選ぶときや処分するときは、「環境に配慮されているか」「法律に従って適切に処理できるか」を意識することが大切です。

私たち一人ひとりができることを心がけ、地球にやさしい暮らしを実現していきましょう。

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この記事を書いたスタッフ

建部 信吾

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